いよいよ全日本ロードレース選手権の2013年シーズンがスタートした。開幕戦ということで木曜日から特別スポーツ走行が行われ、JSB1000クラス以外は、非公式ながらコースレコードを更新するタイムがマークされており、土曜日の公式予選での走りに注目が集まった。 JSB1000クラスは、名門ヨシムラが津田拓也を起用し4年振りに全日本に復活。TEAM GREENは、昨年のJ-GP2クラスチャンピオン渡辺一樹が加入し2台体制となり、さらにレベルの高いレースになることは、間違いないだろう。しかし、開幕を前にケガを負ったライダーが出てしまった。その筆頭が、ゼッケン1をつける中須賀克行だった。中須賀は、3月4日の鈴鹿テストの際、2コーナーで転倒を喫し、左肩を脱臼。メディカルに運ばれるが肩が大きくずれていたため痛み止めを打って入れたと言う。その後、事前テストも走るが、ベストには、ほど遠い状態でレースウイークを迎えていた。また、柳川明は、事前テスト初日に3コーナーで進入ハイサイド転倒。腰椎の横突起を4カ所骨折してしまい、こちらも満身創痍。さらに加賀山就臣も昨年のオートポリスで負ったヒザの状態が思わしくなく再手術し、退院したのが3月21日と、まさに開幕直前だった。3人の優勝候補が、万全の状態ではないため、事前テストから調子のいい高橋巧、そして韋駄天・秋吉耕佑がレースウイークを引っ張っていく形となった。 ノックアウト方式予選は、今年から昨年までの3セッションから2セッションでとなった。第1セッションでは、まず全車がアタック。第2セッションは"トップ10トライアルチャレンジ"という名の通り10台のみが進出できる。まず40分間で行われた第1セッションでは好調の高橋がトップタイムをマーク。秋吉、津田、中須賀、藤田拓哉、渡辺、柳川、山口辰也と続き、清水郁己が9番手に食い込む健闘を見せた。そして最後の10番手の椅子を加賀山が確保し、トップ10チャレンジに進出した。 予選は、ドライコンディションだったが冬のような寒さとなり、路面温度は約20度しかなかった。各ライダーは、慎重にペースを上げていくものの、トップ10トライアル開始早々に高橋が3コーナーでまさかの転倒。その直後にいた津田もコースアウトするが、転倒はせずにコースに復帰した。高橋は、そのままセッションを終え、まさかの10番手。決勝は4列目からスタートすることになってしまう。 そんなライバルを尻目にポールポジションを獲得したのは、秋吉耕佑だった。2セッションとなったノックアウト方式予選は、Q1こそ高橋巧の後塵を拝していたものの、冷静にアタックに入るとトップ10チャレンジでは3周目のアタックで1分50秒385をマークしポールポジションを獲得した。 「コンディションが難しい状況でしたし、絶対に転ばないように走っていました。チームがよく頑張ってくれているので、マシンもいい状態になってきています。去年は、今日より路面温度が高いときに転倒してしまったのですが、未だに原因が分からないので慎重に走っていました。決勝は、ドライでも雨でも勝ちに行くだけです」と秋吉。韋駄天・秋吉が開幕ダッシュをかけることができるか!? 2番手には、ケガが癒えない中須賀がつけた。中須賀は、トップ10チャレンジのセッション終盤にS字コーナーでまさかの転倒を喫し頭を強打してしまう。すぐに病院に運ばれ精密検査を受けるが、診断は問題なくレースには出場する予定。ただ、左肩の状態は相変わらず厳しく今回は我慢のレースになるだろう。それは柳川、加賀山にも言えることだが、上位陣の動向によっては表彰台に上がる可能性が出てくるはずだ。 気になるのは天気の行方。雨となれば秋吉が速いだけに昨年の最終戦のようにトップを独走する可能性が高いだろう。ドライならば高橋の仕上がりがいいだけに、スタート直後に高橋がどれだけポジションを上げられるかが勝敗を分けるポイントとなる。また、ヨシムラの津田がどこまで秋吉に迫れるか注目したいところだ。2013年のオープニングレースを制するのは、果たして!?