今回のツインリンクもてぎ2&4レースから全日本ロードレース選手権は、JSB1000クラスのみ、一足早く2019年シーズン後半戦に突入した。ここまで開幕戦ツインリンクもてぎでダブルウインを飾ったのは、絶対王者として君臨してきた中須賀克行だったが、鈴鹿、SUGOと2戦連続でダブルウインを達成した高橋巧がポイントランキングをリードしている。今回も高橋がイニシアチブを握るかと思われたが、シーズンの流れを変えることになるかもしれないアクシデントが起こった。 高橋の所属するTeam HRCを始めYAMAHA FACTORY RACING TEAM、Kawasaki Team GREEN、MuSASHi RT HARC-PRO.、YAMALUBE RACING TEAM、will-raise racing RS-ITOHは、前週にプライベートテストをツインリンクもてぎで行ったが、その2日目・午前中のセッション最後に高橋がマシントラブルで転倒。右足ヒザの付け根部分の腓骨を骨折してしまう。すぐに入院し、リハビリを行った高橋は、レースウイークの火曜日に退院。とりあえず走ってみないと分からない状態で金曜日のセッションが始まった。初日、高橋は1分49秒339で5番手タイムながら「引っかからなければ1分48秒台には入った」と、ケガの影響をそれほど感じさせない走りを見せた。それは土曜日に入っても変わらなかった。周回数こそ他のライダーよりは抑えたものの公式予選をリードする走りを見せた。 気温32度、路面温度52度という厳しい暑さの中でのタイムアタックとなった公式予選は、今シーズン初めてノックアウト方式で行われた。高橋は、Q1で、ただ一人1分48秒台に入れトップにつけると、Q2でも1分48秒693まで詰めポールポジションを獲得した。 「ケガは骨のアタマが欠けたくらいで松葉杖も使わないで済んでいます。普通に乗ることができていますし、タイムも出ているので、いい勝負ができそうです。レースが終われば(ケガの影響があるかないかは)分かるでしょう」と高橋。手負いの状態ながら5レース連続でポールポジションからスタートすることになった。 その隙を突きたかった中須賀だったが、予選のコンディションに合わせるのに意外に苦戦したと語ったが、それでもハイアベレージを見せ、しっかり2番手タイムを出してきている。チームメイトの野左根航汰は、ツインリンクもてぎを得意としているが、予選はQ2で選んだタイヤをうまく使えず5番手となった。しかし、Q1では決勝を見据えフルタンクに近い状態で決勝用タイヤを履いて走ったにもかかわらず、1分49秒297をマークしているだけに調子はよさそうだ。 予選3番手につけた水野涼も高橋と同仕様のワークスマシンを手に入れ調子を上げている。JSB1000クラスにステップアップし、2年目のシーズン。鈴鹿8耐でもチームを引っ張る走りを見せており着実な成長を見せている。 トップ争いは、ホンダの2台とYAMAHA FACTORY RACING TEAMの2台に、ヨシムラの渡辺一樹、Kawasaki Team GREENの渡辺一馬が、どこまでついて来られるかと言うところだろう。渡辺一樹は、テストを行っていないが、コースとの相性がいいと語る。渡辺一馬は、プライベートテストでは、トップタイムをマークしており、決勝日朝、そしてレースまでのアジャストがうまく行けばトップ争いに加わることができるはずだ。 天気予報は曇りとなっており路面温度によっては、他のライダーもトップグループに加わってくるかもしれない。23周という長丁場を、一番暑い時間に行われる今回のレース。レース序盤はお互いに様子を見ながら周回を重ね、タイヤの厳しくなるレース終盤に勝負を仕掛ける展開になることが予想される。 手負いの高橋がレースをリードするか!? 中須賀が意地を見せるか!? 水野、野左根の若手がレースをかき回すか!? シーズン後半戦の流れを占う一戦となりそうだ。