全日本ロードレース選手権のプレミアクラスJSB1000クラスが、三重県・鈴鹿サーキットで開幕を迎えた。今年の開幕戦はひと味違う雰囲気となっている。エントリー台数は何と81台! 鈴鹿8時間耐久に向けたトライアウトを含んでおり、レースも200kmというセミ耐久で争われる。鈴鹿200kmと言えば、以前に鈴鹿8耐の前哨戦として6月辺りに行われていたが、2016年シーズンの最初のレースになるのも時代の流れと言うのだろうか…。35周で争われるため、給油のためのピット作業はマスト要素となる。 今年は、事前合同テストがなく、鈴鹿ファン感謝デー後の月曜日に特別スポーツ走行が設けられたが冷たい雨となってしまう。その後、ドライコンディションで鈴鹿を走れたのは、専有走行のあったカワサキ勢とダンロップ勢のみだったが、その日も気温は低く、思うようにセットアップを進められなかったようだ。中でも深刻な状況だったのが、サスペンションとブレーキメーカーを変更した高橋巧と渡辺一馬のホンダ勢だった。レースウイークの木曜日が実質のシェイクダウン。全くデータのない中、金曜日は1本目がウエットからドライとなる不安定なコンディションだったこともあり2分09秒台を切ることができないでいた。 公式予選は、2グループに分かれ各35分1セッションで行われた。Aグループのセッションが始まると、ゼッケン1をつける中須賀克行は、集団をかきわけ前に出るとアタックラップに入る。とにかく至る所で派手なスライドを見せながらアクセルを開けタイムを削って行くと、ただ一人2分05秒台に突入。2分05秒799でポールポジションを獲得する。 「R1で鈴鹿を走るのも久しぶりでしたし、なかなかいいフィーリングが得られなかったのですが、結局、去年と同じセッティングにしたのが一番よかったですね。その中で全力でアタックしましたし、タイムには満足しています。決勝は、長丁場なので何が起きるか分かりませんが、ボクがペースを持っているし、その中でレースをコントロールできればいいですね。35周を集中して力を出し切ることができれば、結果はついてくると思います。九州のライダーとして熊本・大分の皆さんの励みになるような走りをしたいですね」と中須賀。 中須賀のポールタイムは、2番手の津田拓也を1秒以上引き離す圧倒的なものだ。津田は「2分06秒台に入らなかったのは残念ですが、アベレージでは2分07秒台で走ることができています。もう少しセットを詰めて決勝でいい成績を出せるようにチーム一丸となって頑張ります」とコメントした。 苦しい状況の高橋巧は、何とか3番手に食い込んで来た。「金曜日までは、どうなってしまうかと思っていましたが予選になって希望の光が差し込んできました。マシンを詰め切れなくても長いレースの中で走りをアジャストして勝負して行きたいと思っています」と高橋巧。 以下、柳川明、秋吉耕佑と2分07秒台で続き、山口辰也、渡辺一樹、中冨伸一、野左根航汰、藤田拓哉、渡辺一馬と2分08秒台で続いた。グリッドに着けるのは52台。ライダーがマシンに駆け寄るル・マン式スタートで200km先のゴールを目指すことになる。レースのカギを握るのは、やはり中須賀になるだろう。どんなペースで走るかによって、トップグループはふるいにかけられるだろう。そしてセミ耐久レースの重要項目となるのがピット作業だ。ミスなく、いかに早くライダーをコースに戻すことができるかがポイントなる。中須賀がトップを独走するか!? 阻止するライダーが現れるか!? その結末をぜひ見届けていただきたい。