変わるコンディションの中白熱したバトルを制する者は。
11月17日(日)、熊本県にあるHSR九州にて『2024MFJモトクロス全国大会』が国内 A 級、国内 B 級、ジュニアクロス(85cc)のライダーを対象に開催された。
HSR九州での全国大会は初開催。各クラスベストコンディションで迎えたタイムアタック予選とは打って変わって、突然の雨によりマディコンディションとなった決勝レースは全国各地から集結したライダーを惑わせることとなった。
MFJモトクロス全国大会(HSR九州)
日時:2024年11月17日(日)
会場:HSR九州(熊本県)
天気:曇り一時雨
大会ページ:https://www.mfj.or.jp/national/2024-mx-major-competitions/mx-national-championship-2/
ナショナル(NA)
地元九州ライダーが強さを見せた
15分+1周で行われた国内A級クラス。ヒート1のホールショットを決めたのは#17豊丸良(トヨオカレーシング/CRF450R)。その後を#86臺琉斗(★MOTION RACING★/CRF250R)、#144外間大詩(T.E.SPORT Jr./CRF250R)、#14玉田迅(UnitedOilJapan/YZ250F)が続く。1周目、15番ポストで臺が豊丸をパス。後方では外間と玉田の3位争いも熱いバトルが繰り広げられるが、玉田が前へ出てペースを上げる。その後、トップ争いは豊丸、臺、玉田の接戦となりレースはラスト1周。6番コーナー後の登り、コースコンディションが悪く、臺、玉田が同時に転倒。その隙に豊丸が後ろを引き離しそのままゴール。臺、玉田は転倒後すぐに順位を変えることなく復帰したが、2位に臺、3位に玉田という順位でレースを終えた。
コースコンディションが少し回復したヒート2。#144外間が抜群のスタートを見せトップで1コーナーに飛び込んでいき、後ろには#17豊丸、#86臺、#14玉田が続く。このヒートは臺に勢いがついていたか、1周目11番ポストで2位の豊丸をパスし、3周目には1コーナで外間のインを刺してトップに立ちリードを広げていく。後方の2位争いでは、豊丸が逃げる外間を追い白熱したバトルを繰り広げる。8周目、豊丸がついに7番コーナーで外間を捕らえ2位へ浮上。その後順位に変動は無くラストラップを迎え、臺が1位のポジションを守りゴール。続いて2位に豊丸、3位に外間。九州ライダーが1-2フィニッシュとなり強さを見せるレースとなった。
ナショナルクラスの総合優勝は同ポイントながら2ヒート目を勝った臺が飾った。
臺 琉斗
「今年の九州選手権では総合優勝ができなくて悔しい思いをしてきましたが、全国大会で優勝できてよかったです。」
ノービス(NB)
中部王者の佐藤が圧倒的な実力を見せる
10分+1周で行われた国内B級クラス。ヒート1のスタートは良い反応を見せた#58名島玖龍(KAZUレーシングプロジェクト/CRF250R)がトップで1コーナーに進入するが、同じ1コーナーで#328佐藤太亮(タカホンレーシング/CRF450R)が上手に名島のインを付きトップへ。その後には#80水野零埜(YSP浜北大橋レーシング/YZ250F)、#27松下光(CRF250R)が続く。2週目以降、佐藤が抜きんでた速さで名島との差を広げていく。コースが雨の影響でだんだんとマディコンディションに代わり、苦戦するライダー達。5周目、10秒以上の差をつけ独走する佐藤と、2位の名島の後方では3位争いが白熱していた。前を走る水野は4位の松下から終始逃げる展開だが簡単に道を譲らない。ラストラップ、佐藤は2位の名島に18秒の差をつけゴール。続いて名島、水野の順でレースを終えた。
見事にヒート2のホールショットを決めたのは#328佐藤。続いて#58名島、#80水野、#27松下と、ヒート1と同じ顔ぶれが上位に並んだ。このヒートでも1周目から佐藤が強い走りで後方との差を開いてゆく。2位の名島はラインを変えながら追ってくる水野から逃げ、4週目にはその差が安全圏内に。レース中盤~後半には大きな動きがなく、1位佐藤、2位名島、3位水野の順をキープして最終ラップに突入。佐藤がそのまま危なげなくトップフィニッシュし、3番手の水野が6番コーナーで名島に近づくも、名島が諦めない強さを発揮し2位を死守した。
佐藤が2ヒートとも1位を飾り総合優勝という素晴らしい結果を残した。
佐藤 太亮
「大きな大会でパーフェクトWinを決めれたことはとても嬉しいですし、経験になりました。」
ジュニアクロス(JX)
関東チャンピオン高木がパーフェクトウィン
10分+1周で行われたジュニアクロス。ヒート1では#25伊良皆龍翔(MXbuild ベストRaci/MC85)がホールショットを決めるも、1コーナーでは#5髙木碧(bLUcRUレーシングチーム鷹/YZ85LW)が伊良皆に並び、3番手には#55今岡陸駆斗(TEAM SKR/YZ85LW)が続く。伊良皆は髙木の猛烈なプッシュから逃げるも4周目のホームストレートで先行を許してしまう。後方では3位の今岡は単独走行。5週目、トップの髙木がコースコンディションに苦戦し4番ポストで転倒。その隙に伊良皆がトップに立つも、直後の8番ポスト先で髙木がトップを奪い返す。ラストラップ、高木は2位の伊良皆に4秒差をつけトップチェッカー。淡々とした走りを見せた今岡が3位でゴールした。
ヒート2、ヒート1に続いて#25伊良皆がスタートを決めるも、1周目の第3コーナーで早くも#5髙木がトップへ躍り出る。3番手には#83江藤が続き、1周目は髙木、伊良皆、江藤によるトップ争いが白熱。2周目、なんと2位の伊良皆が第2コーナーで転倒し、髙木、江藤が先行、さらに4位の川上真花(bLUcRU YSP大阪箕面/YZ85LW)が3位に浮上する。その後川上と4位の#55今岡による3位争いが発生し、第3コーナーで今岡が川上をインからとらえ3位を奪取。一方トップの髙木は圧倒的な速さで独走を続けている。2番手の江藤は懸命に髙木を追い続けるが、4周目に痛恨の転倒を喫してしまう。これにより2位には今岡、3位には転倒後巻き返していた伊良皆が食い込んでくる。そのまま最終ラップを迎え、髙木は2位と10秒差をつけゴール。その後今岡、伊良皆が続き入賞した。
両ヒートで安定した速さを見せた髙木が総合優勝を果たした。
髙木碧
「久しぶりの九州で、地元の九州のみんなと走れて楽しかったです。応援ありがとうございました。」
地区対抗戦を制したのは「関東」
各地区のライダーが集まるMFJモトクロス全国大会は地区対抗戦の側面もあり、レース結果から最優秀地区が決定される。対象クラスはナショナル/ノービス/ジュニアクロスの3つ。各地区の代表選手が上記3クラスで獲得した最高順位をそのままポイントとして取り扱う。
今回は、東北/関東/中部/近畿/中国/四国/九州のライダーが集まった。
オフロードヴィレッジで地区優勝を飾った関東地区と、地元九州地区の一騎打ちとなったが、各地区の最低順位(関東3位、九州5位)が分水嶺となりまたも関東地区に軍配が上がった。
2025年の全国大会は2大会が開催され、関東地区が両大会で地区優勝を勝ち取ることとなった。
将来のIA、日本を代表するライダーを排出するこのモトクロス全国大会は、来年も2会場での開催が予定されている。
引き続き、この大会に出場する年少ライダー達に注目・そして応援してもらいたい。