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INFORMATION 快晴に恵まれた開幕戦で王者・日浦が圧巻の走り!【2024全日本スーパーモト選手権レポート】


2024全日本スーパーモト選手権第1戦レポート
2024年4月14日(日)
スポーツランドSUGO 国際西コース

快晴に恵まれた開幕戦で王者・日浦が圧巻の走り!

2024年の全日本スーパーモト選手権シリーズは、昨年よりも1戦増えて全7戦のスケジュール。その開幕戦が、宮城県のスポーツランドSUGOで4月14日(日)に開催された。
宮城県南部に位置するスポーツランドSUGOは、全日本ロードレース選手権も実施されている国際格式のオンロードサーキットや、同じく全日本選手権も開催されるモトクロスコースなども有する複合モータースポーツ施設。今大会はその中で、レーシングカートやミニバイクなどの走行を前提に設計された全長984mの国際西コースが使用された。
同じコースが舞台だった昨年の開幕戦は、前日までの降雨による影響でフルターマックとなったが、今年は天候に恵まれ、コース中盤のインフィールドにふたつのターンと小さなジャンプなどで構成された短いダートセクションを設けた特設コースが使用された。またターマックセクションは、このシーズンオフに再舗装され、グリップレベルが向上した状態で今大会を迎えることになった。天候は晴れで、日差しは強め。最高気温は22℃まで上昇した。

 

ライバルを寄せ付けず日浦大治朗が完全制覇!

全日本最高峰となるS1プロクラスは、予選が15分間のタイムアタック方式、決勝は15周の2レース制で競われた。11台が出走した予選は、トップから4位までが46秒台かつ0.538秒差の混戦に。チームメイトの長谷川修大(#4)を0.009秒上回った昨年度王者の日浦大治朗(#1)が予選トップ、長谷川が同2位、昨年はS1オープンクラスとS2クラスでともに3勝を挙げたS1プロクラスルーキーの佐藤瑞城(#20)が同3位となり、決勝レース1のフロントローに並んだ。今季はマシンをカワサキにスイッチした小原堅斗(#2)が予選4位、46秒台まで0,085秒届かなかった川島颯太(#3)が同5位、金子和之(#5)が47秒329で予選6位となり、決勝レース1を2列目からスタートすることになった。また、昨年のS2クラスを制した大金歩夢(#19)は48秒448で予選7位となった。

決勝レース1でホールショットを奪ったのは、ポールポジションスタートの日浦。これに予選2位の長谷川、予選4番手の小原が続いた。1周目、4番手の佐藤が転倒し、これで川島を抜いた金子が4番手に浮上。まずは日浦、長谷川、小原、金子、川島、内山瑛須(#18)、川上祥史(#15)、佐々木啓之(#13)のオーダーとなった。2周目、内山を先頭とした6番手争いの集団は遅れはじめ、トップの日浦から5番手の川島までが、それぞれ1~2秒間隔に。翌周、ダートで川島がエンストして金子から5秒ほど遅れ、トップ集団は4台となった。この段階で、トップの日浦と2番手の長谷川は約1.5秒、長谷川と3番手の小原は約1秒、小原と4番手の金子は約2秒のギャップ。しかし翌周以降、それぞれの距離はじわじわと広がった。

一方、5番手を走る川島は、後続を完全に引き離して単独走行に。6番手争いでは、依然として先頭を守る内山に川上や佐々木、さらに佐藤と大金が迫り、5台による接近戦となった。レース後半、約3秒のアドバンテージを築いた日浦は、これを維持しながら周回。2番手の長谷川、3番手の小原、4番手の金子も、それぞれ前後に間隔がある単独走行になっていった。そして15周のレースを完璧にコントロールした日浦が優勝。長谷川が2位、小原が3位、金子が4位、川島が5位となった。最後まで混戦となった6位争いは、内山が後続を抑えてチェッカーを受けた。

決勝レース2は、レース1のゴール順位でスターティンググリッドへ。ポールポジションスタートの日浦を、小原と長谷川が先行して1コーナーを立ち上がったが、すぐに日浦がトップを奪い返した。3番手以下は混戦が続き、ダートセクションで金子と川島が長谷川を先行。さらに川島が金子をパスし、1周目は日浦、小原、川島、金子、長谷川、佐藤、新沼伸介(#10)のオーダーとなった。2周目、長谷川が金子をパス。さらに翌周、長谷川は川島を抜いて3番手に順位を上げた。4周目の段階で、トップの日浦、2番手の小原はそれぞれ約3秒のリード。3番手争いは長谷川、川島、金子、佐藤が接近戦で、新沼を先頭とする7番手争いの集団はここから5秒ほど遅れた。
5周目、ダートセクションで長谷川と川島がバトルを展開し、両者が接触。これで川島が転倒し、長谷川も金子の先行を許した。川島は、6番手争いの最後尾となる11番手でレースに復帰。後続のアクシデントにより、2番手を走る小原のリードは約4秒となった。6周目以降、トップの日浦と2番手の小原は、さらに少しずつ後続を離して独走状態に。一方、金子と長谷川と佐藤は、僅差の3番手争いを続けた。レースが終盤を迎えた11周目、2台に挟まれた状態の長谷川は金子のパッシングを試みるが、逆に佐藤の先行を許して5番手後退。この周、集団の中で少しずつ順位を上げた川島は、新沼をパスして大金に迫った。ラスト3周となった13周目、大金がダートで転倒してリタイア。これで川島は6番手となった。迎えた最終ラップのダートセクションでは、なおも3台によるバトルとなった3番手争いの中で、長谷川が佐藤を再逆転。最後は金子に迫ったが、ここは金子が守った。そしてレースは日浦が勝利を収め、小原が2位、金子が3位で表彰台に登壇。長谷川が4位、佐藤が5位、川島が6位となった。

●日浦大治朗(レース1・優勝/レース2・優勝)
「昨年は茂原ツインサーキットでの第5戦で優勝して以降、第6戦と第7戦は転倒続きで勝てずに終わりました。その反省から、今年はとにかく落ち着いて走り、転倒をなるべく減らしていくことも意識しています。シーズンオフから調子もいいし、マシンも仕上がっており、まずは狙いどおりの内容で2レースとも勝てたので満足しています。とはいえ今年は、レース1で2位となったチームメイトの長谷川選手、レース2で2位となった小原選手に限らず、上位勢の実力はかなり拮抗しているのではないかと感じています。これは、予選のラップタイム差を見ても明らか。油断していたら、転倒しなくても喰われることになりかねないので、気を引き締めて次戦以降もレースに臨みたいと思います」

●小原堅斗(レース1・3位/レース2・2位)
「今シーズンは完全な新規チームからの参戦となり、マシンもカワサキにスイッチ。近年はカワサキで全日本最高峰クラスにフル参戦しているライダーはおらず、参考になるデータがどこにもない状況でイチからマシンを作らなければならず、この開幕戦に向けて苦戦していました。しかし、地元の東北地方で開催される大会とあって、応援に駆けつけてくれた人も多く、みんなの前でいいレースをしたいという気持ちが強くあり、それが結果につながったと思います。今季は、自分よりも若いライダーが下のクラスからステップアップしてきて、その成長にコワさも感じていますが、自分にとって最大の目標は日浦選手に勝つこと。そこに向かって、ひとつずつ積み重ねて調子を上げていきたいです」

↑ディフェンディングチャンピオンらしい圧巻の走りで完全制覇を達成した、ロードレースの国内最高峰クラスでも活躍する日浦大治朗(#1)

 

今季は、全日本スーパーモトではかなりレアな存在のカワサキにマシンをスイッチして戦う小原堅斗(#2)が、レース1で3位、レース2で2位を獲得

 

レース1は確実に2位を獲得したが、レース2はバトルの中で何度か順位を下げたことが響いて4位となった長谷川修大(#4)

 

レース2の表彰台。写真中央が優勝の日浦大治朗(#2)、同左が2位の小原堅斗(#2)、同右が若いライダーたちを最後まで抑えて3位となった金子和之(#5)

 

レース1は幸運、レース2は実力で野田龍樹が勝利

23台がエントリー、19台が出走したS1オープンクラスは、15分間のタイムアタック予選と、12周の決勝2レースが設定された。今大会では全員が4スト450ccマシンを駆る。タイムアタック予選では、田淵智之(#17)がセッション中盤に49秒162をマーク。終盤にかけてライバルたちもベストタイムを更新するが届かず、田淵が予選トップとなった。予選2位には49秒876で野田龍樹(#13)、同3位には49秒889で佐々木徹(#12)が入り、ここまでが決勝レース1のフロントロースタート。予選4~12位はいずれも50秒台という混戦で、なおかつ勝谷仁(#40)と川崎雄大(#14)は50秒218の同タイムとなったが、先にマークした勝谷が予選4位、川崎が予選5位となった。予選6位には、最終ラップで吉田隆幸(#21)のタイムを0.004秒上回る50秒292を記録した水野彰久(#8)が入り、決勝レース1の2列目スタートとなった。

迎えた決勝レース1は、ウォームアップラップのスタート直後に藤本賢人(#39)と浅井大喬(#33)が転倒し、浅井のリタイアにより18台で競われた。ポールポジションの田淵がやや出遅れ、2番手スタートの野田と3番手スタートの佐々木が先行。さらに佐々木が野田をパスし、オープニングラップは佐々木、野田、田淵、勝谷、吉田、水野、梅田祥太朗(#6)、川崎、山口誠(#41)、大野雅樹(#11)のトップ10となった。4周目までこの順位は変わらず、縦に長い大集団に。しかし5周目、前の周からトップの佐々木に肉迫していた野田がダートセクションで仕掛けると、ここで佐々木が転倒し、これで野田がトップに浮上した。佐々木は5番手の水野と約2秒差の6番手でレースに復帰。背後には川崎と梅田と大野と山口が僅差で続いた。

野田が先頭に立って以降も、依然として上位10台はそれぞれの間隔が2秒以内の大混戦状態。トップ争いは、野田を約1秒差で田淵が追うことになった。勝谷は、この2台に2秒ほど離されながらも3番手をキープ。さらに2秒ほどの間隔を開けて、4番手には吉田がつけた。10周目、田淵が前を走る野田との距離を詰め、これでトップ争いが接近戦に。すると11周目のダートセクションで野田がミスにより失速し、田淵が先行した。そして、田淵と野田が接近戦を繰り広げながら12周目に入ったが、11周目のコントロールラインを通過する直前で佐々木が転倒したことにより赤旗提示。規定によりレースは10周終了時点の順位で成立することになり、野田が優勝、田淵が2位、勝谷が3位、吉田が4位、水野が5位、佐々木が6位となった。

決勝レース1のゴール順でスターティンググリッドに並んだレース2は、野田がホールショット。4番グリッドスタートの吉田が巧みに飛び出して2番手に順位を上げ、田淵が3番手、勝谷が4番手、佐々木が5番手、梅田が6番手、水野は一つ順位を落として6番手からのレースとなった。2周目、トップの野田は早くも2~3秒のリードを確保。一方、吉田から梅田までの5台が2番手争いの集団を形成し、7番手の水野は2秒ほど遅れた。3周目、田淵がダートで転倒して集団から脱落。吉田が順位を下げ、2番手争いは勝谷、佐々木、吉田、梅田、水野の順となり、トップを走る野田のリードは4~5秒に拡大した。

4周目以降も吉田は順位を落とし、5周目の段階では野田がトップ、約4秒離れて勝谷が2番手、さらに1~2秒後方に佐々木と梅田の3番手争いが続く展開。水野と吉田と大野が、梅田から2秒離れて5番手争いとなった。レースが後半に入った7周目、ここから佐々木と梅田と水野の3番手争いに発展すると、翌周には梅田が先行。4番手の佐々木と5番手の水野には、大野と吉田と田淵が僅差で迫った。9周目には水野が順位を落とし、これで勝谷と梅田の2番手争い、2~3秒離れて佐々木と大野の4番手争い、さらに2~3秒後方で吉田と田淵と水野の6番手争いに。そしてラスト2周となった11周目に、田淵が吉田を抜いた。一方、2番手争いと4番手争いは、最後まで接近戦を続けるも順位は変わらず。レースは野田が独走で勝利し、勝谷が2位、梅田が3位、佐々木が4位、大野が5位、田淵が6位となった。

レース1は赤旗に救われるカタチでの優勝だったが、レース2では後続を完全に離して勝利を収めた野田龍樹(#13)

 

レース1では後続をやや離して3位、レース2では終盤に迫ってきた梅田祥太朗(#6)を最後まで抑えて2位となった勝谷仁(#40)

 

レース2は転倒が響いて6位に終わったが、レース1は赤旗終了がなければあわや優勝の2位を獲得した田淵智之(#17)

 

レース2の表彰台。写真中央が2レース制覇の野田龍樹(#13)、同左がレース1に続いて表彰台に立った2位の勝谷仁(#40)、同右がレース1の9位から追い上げて3位の梅田祥太朗(#6)

 

佐藤祐季が驚速の全日本デビューレース!

出走台数がわずか5名と寂しい状況となったS2クラスも、予選は15分間のタイムアタック方式で、決勝は12周の2レース制。佐藤祐季(#23)が48秒535で予選トップ、宮本拓実(#22)が49秒479で同2位、藤田友貴(#6)が49秒825で同3位、高津戸義彦(#12)が50秒788で予選4位、佐藤省吾(#5)が51秒575で予選5位となった。藤田のみ2スト125ccマシンで、それ以外の選手は4スト250ccを駆る。

決勝レース1は、予選トップの佐藤祐季が順当にホールショット。しかし予選2位の宮本は出遅れ、代わりに藤田が2番手となった。宮本は最後尾となる5番手で1周目をクリア。レース序盤、トップの佐藤祐季は1周につき約1秒のリードを築いていった。2周目、宮本は高津戸をパスして4番手。3周目には佐藤省吾に迫った。4周目、ダートセクションの進入でトップの佐藤祐季が転倒。これで藤田がトップに立ち、佐藤祐季が約1秒差で追うことになった。さらにその背後には、この周に佐藤省吾を抜いた宮本も迫った。

6周目、藤田と佐藤祐季と宮本は完全に接近して、トップグループを形成。ここから3秒ほど遅れて、佐藤省吾と高津戸も僅差のバトルとなった。そしてレースが後半に入った7周目に、佐藤祐季が藤田をパスしてトップ再浮上。翌周以降、佐藤祐季は再び少しリードを得て、9周目には約2秒のリードを築いた。一方、藤田と宮本、この2台から4秒ほど遅れた佐藤省吾と高津戸は、なおも激しいバトルを継続。ラストラップとなった12周目には、宮本が藤田、高津戸が佐藤省吾に肉迫した。しかし最後まで順位は変わらず、レースは佐藤祐季が優勝し、宮本が2位、藤田が3位、佐藤省吾が4位、高津戸が5位となった。

レース1のゴール順でスターティンググリッドに並んだレース2は、やや出遅れかけるも再び佐藤祐季がホールショット。3番手スタートの宮本は出遅れ、藤田と佐藤省吾と高津戸が続いた。1周目、佐藤祐季のパッシングを試みた藤田が転倒。佐藤祐季がトップ、約1秒遅れて佐藤省吾と高津戸と宮本、約8秒離れて藤田の順でオープニングラップをクリアした。2周目、トップの佐藤祐季はリードを約2秒に拡大。佐藤省吾と高津戸と宮本は、僅差のバトルを継続した。3周目以降、佐藤祐季が1周につきコンマ数秒ずつアドバンテージを積み重ねる一方で、3台による2番手争いは続き、その後方には藤田がじわじわと近づいてきた。

レースが後半に入った7周目、トップの佐藤祐季は約4秒のリード。3台による2番手争いでは、依然として佐藤省吾が先頭を守り、これを高津戸と宮本が攻め立てた。8周目の段階では、この3台と最下位の藤田は約3秒差。翌周、高津戸が失速して遅れ、これで2番手争いは佐藤省吾と宮本に絞られた。10周目以降、宮本は激しく佐藤省吾に迫ったが、ギリギリのところで佐藤省吾が順位を死守。そして迎えた最終ラップのダートセクション入り口で、再度仕掛けた宮本が転倒した。これによりレースは、佐藤祐季がトップ、佐藤省吾が2番手、藤田が3番手、高津戸が4番手、再スタートした宮本が5番手でチェッカー。ところがレース後の再車検で、佐藤祐季のマシンが音量オーバーにより失格となり、繰り上げで佐藤省吾が優勝、藤田が2位、高津戸が3位となった。

レース2はトップチェッカーを受けるも排気音量オーバーで失格となったが、全日本デビューレースでいきなり優勝した佐藤祐季(#23)

 

最後まで諦めず宮本拓実(#22)を抑えたことが、繰り上げによるレース2での全日本初優勝につながった佐藤省吾(#5)

 

レース1で3位、レース2では2位と、参加選手が少ない大会でしっかり2レースとも表彰台に立った藤田友貴(#6)

 

繰り上げによる悲願の初優勝達成を、レース2の表彰式直前に知ることになった佐藤省吾(#5)

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