2019年のシリーズ最終戦第51回MFJグランプリは、木曜日からレースが行われた日曜日まで全てドライコンディションで行われた。 14周で争われたレース1は、波乱の幕開けとなった。予選で圧倒的なタイムでポールポジションを獲得し、タイトルに王手をかけていた高橋巧と3番手グリッドの野左根航汰が好スタートを見せ1コーナーに入って行く。イン側にオーバースピード気味で入った野左根がホールショットを奪い、2コーナーに向けて野左根と高橋巧が、はらんだところを中須賀克行がインを取る。高橋巧は、イン側の中須賀を避けるためにマシンを起こすとアウト側にいた野左根と接触。高橋巧は、2コーナーでコースアウトし大きく順位を落とすと、さらにデグナーカーブ進入でもコースアウトしてしまい転倒を喫してしまう。すぐに再スタートするものの最後尾からの追い上げを余儀なくされる。 レースは、中須賀がオープニングラップからリードし、水野涼、渡辺一樹、渡辺一馬、加賀山就臣、前田恵助、秋吉耕佑、岩戸亮介、高橋裕紀、ザクワン・ザイディと続き、野左根は、15番手でオープニングラップを終えていた。中須賀は、2番手以下を大きく引き離しトップを独走。2番手争いが水野、渡辺一馬、渡辺一樹、加賀山、秋吉、前田、岩戸と序盤は、7台が繰り広げていたが、渡辺一馬が2番手に上がると、水野と秋吉はついて行くが、渡辺一樹、加賀山、前田が遅れて行く。その背後には、野左根が迫ると、1台、また1台とかわしポジションを上げてくる。10周目に水野が渡辺一馬をかわし再び2番手に上がると、秋吉も渡辺一馬の前に出て3番手に浮上。だが、11周目に2分05秒台のベストタイムをマークした野左根が一気に2番手に上がる。水野も野左根をピタリとマークするが、ラスト2周というところでシケインで転倒があり最終ラップも黄旗が振られていたため勝負できず。 中須賀が独走でチェッカーフラッグを受け今シーズン6勝目。一方、高橋巧は16位まで追い上げ8ポイントを獲得。両者の差は、中須賀の9点リードに変わり、最終レース2を迎えることになった。2位争いは、野左根が制し、水野が3位。4位に渡辺一馬、5位に秋吉、6位に渡辺一樹、7位に加賀山、8位に前田、9位にザクワン、10位に亀井雄大と続いた。 そして運命のレース2を迎える。レース1の鬱憤を晴らすように、高橋巧が好スタートを見せホールショットを奪うとオープニングラップからペースを上げ2番手以下を引き離して行く。水野、中須賀、野左根、秋吉、渡辺一樹、渡辺一馬、津田拓也、加賀山と続き、S字コーナーの混戦では秋吉が2番手に浮上。水野、中須賀、渡辺一樹、野左根と続く。高橋巧は、オープニングラップで大きく2番手以下をリード。秋吉、中須賀、水野、野左根、渡辺一樹、渡辺一馬と続き、加賀山の背後には亀井雄大がつけていた。 トップを走る高橋巧は、3周目には2分05秒台に入れ独走体制を確固たるものとして行く。2番手には、秋吉がつけ健闘していたが、6周目に野左根が前に出て行くと、中須賀、渡辺一樹にもかわされ5番手にポジションダウン。何とかついて行きたいところだったが、9周目の2コーナーで痛恨の転倒を喫しリタイアとなってしまう。 2番手争いは、レース終盤に入りヒートアップ。渡辺一樹が17周目に中須賀を、18周目には野左根をかわし集団のトップに浮上。しかしラスト2周となった19周目の2コーナーで野左根が抜き返す。渡辺一樹は、バックストレートで野左根を抜き返すが130Rでオーバーランしてしまい野左根はもちろん、中須賀にもかわされてしまう。そしてファイナルラップの2コーナーで中須賀が野左根をかわし2番手に上がり、エースライダーの意地を見せる。 トップを独走する高橋巧は、2位に14秒986もの大差をつける圧倒的な速さでレース2を制し今シーズン5勝目を挙げる。一方、中須賀は2位に入り、大逆転で9度目のJSB1000クラスチャンピオンを獲得。3位に野左根、4位に渡辺一樹、5位に渡辺一馬、6位に水野、7位に加賀山、8位に亀井、9位にザクワン、10位に前田と続いた。以下、関口太郎、濱原颯道、高橋裕紀、柳川明、津田拓也、津田一磨、星野知也、小島一浩、今野由寛、中冨伸一とポイントを獲得した。
【レース1】スタート
【レース1】コースアウトした高橋巧
【レース1】タイトルを引き寄せた中須賀克行
2019年全日本チャンピオン/中須賀克行が文部科学大臣杯を受賞