昨年に続き、2019年シーズンもゼッケン1をつける岡本裕生と小山知良がタイトル争いを繰り広げてきた。最終戦MFJグランプリを迎えた時点で、小山が135ポイント、岡本が126ポイントと、その差は9ポイント。昨年は僅か1ポイントだったが、今年は小山が俄然有利な状況となっていた。それでも昨年のような接触コースアウトという可能性もあり、最後まで気を抜けない状況だった。 公式予選では、全日本ルーキーシーズンの荒川晃大がコースレコードでポールポジションを獲得。鈴鹿をホームコースにしている南本宗一郎も僅差の2番手につけた。アベレージタイムでは突出しており、南本がレースを引っ張って行くことが予想された。小山は3番手、岡本は4番手につけていた。 13周で争われたST600クラス決勝。セカンドグリッドの南本が好スタートを切りホールショットを奪い、小山、岡本、岩田、長尾、古山颯太と続き、ポールポジションの荒川は、やや出遅れ7番手につけていた。予想通り南本がレースをリードし、これを小山、やや間隔を空けて岡本、古山、岩田、荒川、長尾、國峰啄磨と続いていた。とにかく前に出ないと逆転チャンピオンの可能性がない岡本だったが、思うようにペースを上げられず、その背後には古山が迫ると、2周目のヘアピンで岡本の前に出る。さらに古山は、3周目にファステストラップとなる2分11秒976をマークすると4周目の1コーナーで小山をかわして2番手に浮上する。南本を先頭に古山、小山、やや間隔を空けて岡本がトップを追走。その後方では、荒川が岩田をかわし5番手に浮上していた。 古山は東コース部分のペースが上がらず、南本がやや抜け出し、古山と小山、そして岡本も接近し、3台が接近戦となっていた。これを見た小山は、8周目のデグナーカーブ進入で古山をパスし2番手に上がるが、古山も9周目のホームストレートで抜き返す意地を見せる。しかし実力に勝る小山が10周目のS字コーナー進入で前に出ると、このバトルは終焉を迎えることになる。岡本も、これに続きたいところだったが、逆にペースが上がらず、その後方から荒川が迫って来る。その後方では、國峰、岩田のチームメイト同士のバトルに長尾が加わり三つ巴の6番手争いを繰り広げていた。 そして残り2周となったところでタイトル争いが決着する。2番手に上がった小山は、ペースを上げ南本を追う。後方では岡本が必死の走りを見せていたがデグナーカーブで痛恨の転倒。そのままリタイアとなってしまう。この時点で小山のチャンピオンは、ほぼ決まっていたが、南本のテールを捕らえると最後まで攻めの姿勢を貫いていく。 迎えたファイナルラップ。南本と小山はテールtoノーズのまま東コースから西コースへ。3番手を走る古山の後方には荒川が迫り、その後方では、5番手争いとなった三つ巴のバトルにアクシデントが起こる。2コーナーで岩田が國峰に接触し転倒、さらに長尾も巻き込まれてしまい3台とも最終ラップで転倒リタイアという結果になってしまう。 トップ争いは、スプーンカーブ進入で小山が南本のインを突き、このレースで初めてトップに立つ。しかし、バックストレートで南本が抜き返すとシケインをしっかり抑えきり南本がトップでチェッカー! うれしい全日本初優勝を達成した。小山は2位でゴールし、19年振りとなる全日本チャンピオンを獲得した。3位争いは、最終ラップのシケイン立ち上がりで古山と荒川が接触。古山が転倒し、荒川が3位でゴール。全日本初表彰台を獲得した。その後方では、佐野兄弟が4位争いを繰り広げ、佐野勝人が4位、佐野優人が5位でゴール。6位に菅原陸、7位に奥田教介、8位に上原大輝、9位に和田留佳、10位にステファン・ヒルと続くトップ10となった。
2位・シリーズチャンピオン/#230 小山 知良 日本郵便HondaDream TP 『2000年以来、19年振りのチャンピオンです。ここにいる南本選手が生まれた年、荒川選手は、まだ生まれていないほど遠い昔のことですね。それから、たくさんのカテゴリーを走らせてもらい、チャンピオンを獲るチャンスもありましたが、何度も悔しい思いをしてきました。去年もタイトルを獲るためにリスクを避けてきましたが、結果的に獲ることができませんでした。今年は、敢えてリスクを負っても全力でプッシュし続けるというスタンスで走ってきました。最終戦も最後まで、その姿勢を貫き、シリーズチャンピオンという結果を手に入れることができました。応援してくださった皆さん、全てに感謝したいですね。ありがとうございました』