2017年シーズンも三重県・鈴鹿サーキットで、そのフィナーレを迎える全日本ロードレース選手権。J-GP2クラスの水野涼のみ最終戦を待たずにチャンピオンを決めたが、その他の3クラスは、今回のMFJグランプリまでタイトル争いがもつれ込んでいる。いずれも接戦となっており、各クラスとも、そのレースの行方に注目が集まるところだ。 JSB1000クラスは、今年も2レース制となっており、レース1が8周、レース2が20周と、それぞれ違う戦略が必要となってくる。タイトル争いは、ヨシムラの津田拓也が155ポイントで暫定ランキングトップにつけ、ハルク・プロの高橋巧が149ポイント、チームグリーンの渡辺一馬が144ポイントで追っている状況だ。 今年も最終戦のレースウイークは、木曜日の特別スポーツ走行から始まった。ここでトップタイムをマークしたのがタイトル争いを繰り広げている高橋巧だった。1本目の走行で2分06秒446をマークし「2分05秒台に、すぐに入れられそうだ」と語っていたが、金曜日は1本目に2分06秒368とタイムを縮めたものの、2本目に2輪専用シケインで転倒を喫した。2日連続でトップタイムをマークしたが、やや足踏みした感じだった。 公式予選が行われた土曜日もドライコンディションとなったが、風が強く、気温も時間が経つにつれ下がって行く状況だった。 今回もノックアウト方式の予選は、まずは、30分間でQ1が行われた。開始早々に日浦大治朗がダンロップコーナーで転倒し、ライダーとマシンがコース上に残ってしまったため赤旗中断。日浦は、この時点で2分07秒644と好タイムをマークしていたが、結果は11番手となっている。その後、中須賀克行、野左根航汰のヤマハファクトリーコンビがアタックし、2分05秒台に突入。Q2でも中須賀は、ただ一人2分05秒台に入れ両レースともにポールポジションを獲得。5年連続7度のチャンピオンの底力を見せつけた。 「予選は風が強かったので、野左根選手に前に行ってもらってスリップストリームを有効に使おうと思ったのですが、思ったよりもタイムが出なかったので、ボクが前に行きました。結果的に両レースとも予選では、ヤマハファクトリーが1-2できたので、よかったし、実際にレースでも同じ結果を出せるようにしたいですね。もちろんボクが2レースとも勝つつもりですし、目指すのはシーズン最多勝記録です!!」と中須賀。野左根もMotoGP™日本グランプリで負傷した指も、ほとんどライディングに影響はないと語り、初日から速さを見せているだけに、ヤマハファクトリーの2人がレースの主導権を握ることになりそうだ。 一方、タイトルを争う3人の中では、渡辺が好調だ。予選では、Q1、Q2共に3番手につけフロントロウを確保した。 「この最終戦には、チームがニューパーツを用意してくれて、レースウイーク初日から予定通りにスケジュールをこなして、マシンセットも順調に進めることができています。ライダー的にも、今シーズンで一番いい状態だと思いますし、あとはレースを迎えるだけです。問題と言えば、まわりのライダーが速いということですね」と上々の仕上がりだ。 木、金とトップタイムを記録していた高橋巧は、「Q1は、いま一つの状態だったので、Q2に向けてアジャストしたのですが、気温が下がった影響なのか、2分05秒台には入れられませんでした。ただ、その対策も考えてありますし、レースには、もっといい状態で臨めると思うので優勝を目標に走るだけです」とコメント。レース1は、4番手グリッド、レース2は、6番手グリッドと2列目からのスタートとなった。 そして津田は、Q1でようやく2分06秒台に入れるが9番手、Q2では8番手と3人の中では一番苦戦している。「タイトルを争っている3人の中では、一番劣勢となっていますし、全力で追いかける気持ちで臨みます。レース1は、2分06秒台の戦いになると思いますので、意地でもついていって最後に前に出られるようにしたいですね。ここまで来たらやるしかないです」と津田。 好調なヤマハファクトリー勢に、タイトルを争う3人、そして好タイムをマークしているモリワキの清成龍一、高橋裕紀、スタートダッシュを得意としている加賀山就臣の存在も見逃せない。藤田拓哉、山口辰也もペース次第では、トップ争いに絡んでくる可能性もあるだろう。まずは8周の短期決戦となるレース1がタイトルの行方を左右することになりそうだ。お見逃しなく!