シーズン最終戦までタイトル争いがもつれ込んだJSB1000クラスは、今年も2レース制、レース1は8周、レース2は20周という、それぞれ戦略が分かれる周回数で行われた。 レース1は、スタート直前のウォームアップランのバックストレートで岡村光矩がマシンを止めてしまったためスタートディレイ。仕切り直しとなったレースは、1周減算の7周と、ただでさえ短いレースが、さらに短縮されることになる。 仕切り直しとなったレースは、ポールポジションからスタートした中須賀克行がフロントをやや浮かしながらもトップで1コーナーに入って行く。これを2列目から好ダッシュを見せた高橋巧がアウトから、かぶせ並びかけて行くが、中須賀がトップを死守。中須賀、高橋巧に続き、野左根航汰、渡辺一馬、加賀山就臣、津田拓也、藤田拓哉、山口辰也、高橋裕紀、濱原颯道、秋吉耕佑と続いて行く。スタートディレイでタイヤが冷えてしまっていたため各ライダーは、慎重に、そのフィーリングを確認しながらペースを上げて行くが、中須賀は、群を抜いていた。何と2周目に、このレースのファステストラップとなる2分05秒789をマーク。一気に2番手との差を開くと、その後も2分05秒台を連発し、あっと言う間に独走態勢を築いて行く。その後方では、高橋巧と渡辺をかわした野左根が2番手に上がり、藤田までの4台が2番手争いを繰り広げて行く。 トップを走る中須賀は、7周中5周を2分05秒台で走り、2位に3秒909差をつけチェッカーを受けシーズン4勝目をマークした。2位争いは、高橋巧が制し、最終ラップのシケインで渡辺をかわした野左根が3位に入った。渡辺は4位となり、藤田、山口、加賀山をはさみ、津田は8位となったためタイトル争いは、高橋巧が174ポイントで暫定ポイントリーダーとなり、津田が171ポイント、渡辺が165ポイントで最終決戦を迎えることになった。 20周で争われたレース2。2列目6番手グリッドからスタートダッシュを見せた高橋巧はホールショットを奪い、中須賀、加賀山、渡辺、山口、野左根、藤田、津田と続いて行く。高橋巧がレースをリードし、これを中須賀がピタリとマーク。野左根、渡辺、藤田もついて行き5台がトップグループを形成。各ライダーとも、それぞれ様子を伺い膠着状態となっていた。その後方では、加賀山の背後に高橋裕紀、津田、清成龍一、山口辰也が続いていた。津田は7周目に加賀山をかわし6番手に上がると単独走行となって行く。レース中盤を過ぎると加賀山はペースを上げられずポジションを下げてしまう。かわって山口がポジションを上げ、高橋裕紀、清成のモリワキ勢を引き連れて行く。 トップグループが動いたのはレース終盤となった16周目。シケインのブレーキングで中須賀が高橋巧のインを突く。これに野左根も続き、高橋巧は3番手に落ちてしまうが、野左根が最終コーナーで失速し、高橋巧と渡辺がポジションを上げる。中須賀を追いたい高橋巧だったが、17周目のバックストレートで渡辺と野左根にパスされてしまい4番手にポジションダウン。中須賀が1秒205抜け出し、4台による2番手争いがヒートアップ。特に渡辺と野左根は接近戦となっていたが、19周目のデグナーカーブ進入で渡辺に追突しそうになりコースアウトしタイヤバリアで転倒。再スタートするものの大きくポジションを落としてしまう。 トップを走る中須賀は、レース2でも強さを発揮しダブルウインを達成。シーズン5勝目を挙げ、最多勝利を記録することになった。2位争いは、最終ラップのシケインで渡辺のインを突いた高橋巧が制し、シリーズチャンピオンに輝いた。渡辺は、シリーズランキング3位、津田は、5位でゴールしシリーズランキング2位となった。安定した速さを見せた藤田は、4位でゴールし、ランキングも4位となった。 6位に山口、7位に清成、8位に高橋裕紀、9位に濱原と続き、再スタートした野左根が10位でチェッカーフラッグを受けた。
【レース1】スタート
【レース1】バトル
【レース1】優勝した中須賀克行