全日本ロードレース選手権は、前戦に続きスーパーフォーミュラとの2&4レースとなり、最高峰クラスのJSB1000クラスのみの開催となる。6月の第5戦に続き2度目となるオートポリス。不安定な天候に悩まされた前回とは、打って変わり、今回は、金曜から日差しは強いものの、湿度が低いさわやかな天気に恵まれた。ただ、金曜日の1本目は、前日の雨の影響でハーフウエットからスタート。セッション中盤から、ようやくドライとなるコンディションだった。2本目は、完全にドライとなり、ただ一人、1分48秒台に入れトップにつけたのが渡辺一馬だった。渡辺は、今シーズンよりKawasaki Team GREEN入りし、エースとしての活躍が期待されている。シーズン前半は、カワサキのマシンを理解することに費やし、鈴鹿8耐を経て、ようやく自分の望んでいるセットができて来たと語る。オートポリスは、カワサキのホームコースであり、データがそろっていることもあり、初日から好調な走りを見せていた。一方、第5戦オートポリスで優勝している中須賀克行は、初日5番手と思うようにタイムを詰められないでいた。これは、今シーズン大きな課題となっている17インチタイヤとの相性を改善することなのだが、16.5インチのフィーリングをどうしても求めてしまっていた。鈴鹿8耐では、16.5インチを使えたことも前戦でトップを走りながら転倒してしまった要因となったと言えるだろう。一方、チームメイトの野左根航汰は、第5戦オートポリスを世界耐久選手権に参戦するために欠場していたが、事前テストには参加しておりトップタイムをマーク。コースとの相性はよく連勝を狙っている。 土曜日は、金曜日に比べれば雲が多かったが、上々のコンディションの中、公式予選が行われた。今回もノックアウト方式だが、30分のQ1で全車が走行し、その上位10台がQ2に進出し、15分のセッションでポールポジションが争われた。 Q1で早々に1分48秒689をマークした野左根がリーダーボードのトップにつけ、中須賀が1分48秒734で2番手とYAMAHA FACTORY RACING TEAMが1-2を独占。高橋巧、渡辺一馬と1分48秒台で続き、ダンロップユーザーの浦本修充が5番手と健闘。以下、津田拓也、藤田拓哉、濱原颯道、山口辰也と続きQ2に駒を進める。 モリワキの高橋裕紀は、僅差で11番手となりQ2へ進出できなかった。今回もピレリは、新スペックのタイヤを投入したが、前回のものの方が相性がよかったようだ。酒井大作は、今回もスタンダードのBMW S1000RRで好タイムをマークしている。 そして今シーズン、Kawasaki Team GREENから初登場の柳川明は、13番手につけた。柳川は、昨シーズン大ケガを負い、今シーズンは、ワールドスーパーバイク仕様のZX-10RRのテストをオートポリスで主に行っていた。JSB1000仕様とは、マシンもタイヤも違うだけに、このレースウイークでどれだけセットを詰めることができるかが上位進出へのカギとなるのは間違いない。オートポリスでは、何度もトップ争いを繰り広げながら勝てないでいる柳川を応援する声は、地元だけに大きい。その声援を力に追い上げのレースを見せてくれるかもしれない。 15分で争われたQ2は、ほとんどのライダーがセッション序盤にタイムアタックし、野左根が、ただ一人1分47秒台に入れる1分47秒841をマークし、2戦連続ポールポジションを獲得した。2番手に好調な渡辺がつけ、17インチタイヤに手こずりながらも中須賀が3番手につけた。高橋巧、津田も僅差で続いておりトップ争いを繰り広げそうだ。9番手ながらアベレージがいいのが松崎だ。松崎は、今シーズンKawasaki Team GREENに抜擢されたJSB1000ルーキー。経験豊富なベテランが多い中、時には完膚無きほど痛めつけられたレースもあったが、ここオートポリスは、渡辺と同じく一番走っているコースだけに、初めてトップ争いに加わってくる可能性があるだろう。 レースの行方と共に、タイトル争いにも注目したいところだ。現在、津田をトップに、5ポイント差で高橋巧が、7ポイント差で渡辺が追っている。今回のオートポリスラウンドを入れ、残りは3戦4レース。津田は、今シーズン初優勝を、高橋巧は、ワールドスーパーバイクスポット参戦前に弾みを、渡辺は、カワサキのホームコースで勢いをつけ、それぞれゼッケン1を目指したいところだろう。19周で争われる決勝レース。最終ラップのファイナルコーナースタンドからホームストレートにトップで現れるのは、誰だ!?