全日本ロードレース選手権は、今回の、もてぎ2&4レースからシリーズ後半戦に突入。2011年から始まった、もてぎ2&4レースは、J-GP2クラス(2012、2013年はJ-GP3も開催)が開催されてきたが、今回は、初めて最高峰クラスのJSB1000クラスが行われている。鈴鹿8耐から3週間後だけに、多くのチームは疲れを取る時間もなく、今回のレースウイークを迎えている。 金曜日の走行は、1本目はドライ、2本目はウエットとなったが、どちらのセッションも野左根航汰がトップタイムをマークした。「走り始めから、すごくフィーリングがよかったですし、チームも最高の対応をしてくれているので、やりやすいですね。やっぱりココがボクのホームチームという感じがしました」とコメント。今年は、世界耐久選手権にYART-YAMAHAの一員として参戦。ヨーロッパラウンドでは、そのインに極端に身体を落とすライディングフォームが話題を呼んだ。先の鈴鹿8耐でもチームを引っ張る走りで5位に入っている。世界耐久でもブリヂストンの17インチタイヤを使っており違和感なく今回のウイークに入れたこと、さらに、ヤマハのワークスチームで自分自身の好みに合わせられるマシンで走れることが野左根の好調の原因だと言っていいだろう。 対して、第5戦オートポリスで苦悩の末、勝利を手に入れ鈴鹿8耐で3連覇を達成したヤマハのエースである中須賀克行は、違和感を感じていた。それは鈴鹿8耐で使用した16.5インチタイヤとの特性の違いが原因だった。今シーズンより全日本は17インチに統一されたが、鈴鹿8耐は、今年まで16.5インチが使用可能だった。ヤマハファクトリーは実績のあるものを鈴鹿8耐で選んだこともあり、その乗り換えに苦労していた。それは、同じく鈴鹿8耐で16.5インチを選んだKawasaki Team GREENの渡辺一馬も一緒だったが、ヨシムラの津田拓也は、それほど気にならなかったと語った。 今シーズン序盤に苦戦した中須賀にとって、今回はある程度想定していたことであり、好調なチームメイトの走りを見ながら、自分自身に取り入れていくことを考えていた。公式予選Q1では、野左根をピタリとマークし、その走りを分析したと言う。対して好調な野左根は、Q3でトップタイムをマークし、JSB1000クラスで初ポールポジションを獲得した。「6月の第4戦ツインリンクもてぎでは、トップを走っていた中須賀選手が最終ラップに不運な転倒があって勝つことができましたが、今回は、しっかり戦って勝ちたいですね。もちろん簡単に勝てるとは決して思っていませんし、全力でぶつかって行きます」と語れば、予選2番手につけた中須賀は「全力で倒しに行く」と真っ向勝負の覚悟だ。 予選で1-2を占めたヤマハファクトリーについて行き、最後に前に出たいのがフロントロウ最後の3番手につけた津田だろう。今年フルモデルチェンジして登場したSUZUKI GSX-R1000Rだが、なかなか思うように開発が進んでいなかった。その中で、 津田が着実にレースを完走してきたことで、前半戦を終えた時点で暫定ランキングトップにつける結果となっている。まずは、1勝を挙げたいところだ。 Hondaのエースであり高橋巧は、予選6番手と今ひとつ波に乗れていない。鈴鹿8耐では、17インチタイヤを使っており、その流れで今回のレースに臨めているがタイムが出ていないのは、ニューマシンならではの悩みなのかもしれない。鈴鹿8耐で見せたカワサキをストレートでかわす爆発的なパワーを速さにつなげたいところだろう。 Hondaの最上位となる4番手には、モリワキの高橋裕紀がつけている。チームメイトの清成龍一もQ2を勝ち抜きQ3で9番手と3列目からスタートする。地元の渡辺は、5番手に入り2列目からカワサキのエースとして優勝を目指す。藤田拓也は、Q3で転倒を喫したがケガはなく7番手。山口辰也が8番手、Q3に進出する健闘を見せた酒井大作が10番手となった。以下、浦本修充、加賀山就臣、濱原颯道、秋吉耕佑、近藤湧也、後半戦から参加の今野由寛と続いた。 タイトル争いは、津田をトップに、渡辺が1ポイント差、高橋巧が3ポイント差と接戦。23周で争われる決勝レース。天気が気になるところだが、野左根、中須賀のヤマハファクトリー勢がレースをリードすることは間違いないだろう。これに津田、高橋裕紀、渡辺、高橋巧が、どこまでついていけるかによってレース展開が見えてくるはずだ。最終ラップのビクトリーコーナーをトップで立ち上がってくるのは、ゼッケン5か? 1か? それとも??