全日本ロードレース選手権の最高峰JSB1000クラスは、今年も鈴鹿2&4レースで開幕を迎えた。2017年も200kmのセミ耐久で行われ、7月末に開催される鈴鹿8時間耐久に向けてのトライアウトも兼ねている。速さだけではなく、給油、タイヤ交換を行うピット作業がマストとなり、チームの総合力が問われるレースとなる。また、今シーズンよりタイヤが16.5インチから17インチとなり、各メーカーの開発状況や特性の違いにマシンを合わせ込む作業に追われることになった。さらにHondaは、CBR1000RR SP2を、スズキは、GSX-R1000Rと待望のニューモデルを投入。それぞれ、どこまでマシンを仕上げてくるかが注目された。 今年も事前合同テストはなかったが、メーカーがそれぞれ専有走行を設けテストを行い、レースウイークを迎えていた。木曜日の特別スポーツ走行から速さを見せたのは、やはり絶対王者・中須賀克行だった。ただ一人、2分05秒台に突入し、セッションをリード。金曜日もS字コーナーで転倒はあったものの連日のトップタイムをマーク。これにニューマシンを駆る高橋巧が肉薄し、公式予選を迎えていた。 風はやや強いものの爽やかな青空が広がる中、土曜日の公式予選が行われた。Aグループの走行となった中須賀は、コースイン直後から2分06秒台を連発すると、4周目には2分05秒961をマーク。セッション終盤には、さらにタイムを詰め2分05秒616で堂々のポールポジションを獲得した。 「まだ決して余裕がある状態ではないですね。金曜は転倒していますし、タイヤが17インチになったことで、合わせ込んでいる最中ですから。他のメーカーもニューマシンが出て来て、4メーカーが同じ土俵となったことで、もっといいバトルができると思いますし、そこを勝っていくことに、やり甲斐がありますよね」と中須賀は、チャンピオンらしいコメント。 2番手にニューマシンを駆る高橋巧が2分06秒119でつけた。「まだまだ仕上がりは、70%というところです。それでもニューマシンになったことで、まだまだノビしろがありますし、もっとよくなったときが楽しみです。決勝は、中須賀さんに、ついて行けるだけついて行くだけです」とコメント。鈴鹿8耐を見据え、Hondaが力を入れているマシンだけに、高橋巧のマシンは、かなりよくなってきているようだ。 そして3番手の藤田拓哉は「いい流れで、ここまで来ています。決勝でもトップ争いに何とかついて行きたいですが、4番手以降も接戦なので、集団となったときに前に出てイニシアチブを握っておきたいですね。今年は、落ち着いて走ることができていますし、決勝もしっかり走り切ることができれば、結果を出せると思っています」と自信をのぞかせた。 Bグループトップには、今シーズン、Kawasaki Team GREEN入りした渡辺一馬が、2分06秒台に入れ4番手につけた。 「予選では、かなり攻めの走りをしました。何とか2分06秒台に入れられてよかったです。カワサキのいい部分を引き出して、一つでも前でゴールできるように全力を尽くします」とカワサキで初めてのレースに臨む。 一方、津田拓也は、金曜は転倒も喫するなど、ニューGSX-Rを仕上げるために"産みの苦しみ"を味わっている。予選中も、思うように走れない中、2分06秒台に入れ5番手となった。 「なかなか思うように行っていないですし、流れはよくないですが、最後まで、もがきたいと思います」とヨシムラの底力を見せたいところだ。 前週にフランスで行われたル・マン24時間耐久で2位に入り、連戦となっている野左根航汰は6番手。ニューマシンをシェイクダウンしたばかりの山口辰也は7番手。ヨシムラに大抜擢された濱原颯道は8番手。今年もスタンダードエンジンのBMWで参戦する酒井大作が9番手。JSB1000ルーキーの渥美心がダンロップ勢最上位の10番手となった。加賀山就臣は、11番手と苦戦中。昨年型ヨシムラマシンで鈴鹿8耐出場を目指す生形秀之が12番手。清成龍一と高橋裕紀が組んで出場するモリワキは、予選で清成が2度転倒するなど、思うようにタイムを出せず13番手グリッドからスタートする。同じく鈴鹿8耐出場を目指す伊藤真一が14番手と続いた。 アベレージでは、中須賀と高橋巧が抜きん出ているだけに、一騎打ちとなる可能性が高いが、35周と長丁場のレース、何が起こるか分からない。200km先のチェッカーフラッグを真っ先に受けるのは、果たして!?