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2016全日本トライアル選手権シリーズ第3戦九州大会
2016年全日本選手権第3戦。九州熊本大会は、地震による影響で延期となり、第4戦のあとに開催されることになった。会場は、昨年に続き山鹿市矢谷渓谷キャンプ場。会場レイアウトに苦心の跡がみられる、美しい清流の横で、自然の地形を存分に楽しめるセクション群は、好評だった。
■国際A級スーパークラス
今回は14名の参加となったIAS。10セクション用意されたうち、4セクションと9セクションがIBとレディース専用セクションとなっていて、8セクション3ラップ、加えてスペシャルセクション(SS)2セクションによる戦いとなった。SSは2セクションともに専用に設定された。特にSS第2は、4メートルといわれるコンクリート壁を登る奥の手が用意されていた。
前回、3連勝を逃した小川友幸(ホンダ)、その小川から勝利を奪還した黒山健一(ヤマハ)、ふたりがともに第1セクションで5点となるという、波乱の幕開けで始まった。出だしがよかったのは小川毅士(ベータ)と柴田暁(ヴェルティゴ)だったが、やはり勝負強いベテランたちが点数をまとめてくる。
小川友幸の走りは、しかしいまひとつ安定しない。連勝した開幕2戦で見せた、圧倒的な強さのオーラは、少し影を潜めている。ならばその隙をついて黒山が、ともならず、野崎が調子を上げてきた。
今回の野崎、湿度のせいもあるのではなんかというのだが、腰の痛みに悩まされていた。加えて1ラップ目にはゲートにさわったという判定の5点もちょうだいした。調子がよいようには見えなかったし、本人もいい状態ではないのは認識していた。
しかし2ラップ目、5点皆無の野崎は、第8セクションで小川が5点となったところでトップに浮上した。このまま、3ラップ目も僅差ながらトップを守った。
8セクション3ラップを終えて、トップは野崎史高の33点、続いて小川友幸が34点。黒山健一が40点で続く。前半好調だった小川毅士は50点で、優勝圏からは脱落している。
SSの第1は、9尺岩に飛びつき、延々と登る酷な設定。9尺岩こそ攻略ができたものの、最後の登りが難関だった。ここを1点で抜けたのは小川毅士。前半で1点があって、判定は2点。これはこの後のクリーンの可能性もあるかと思われたが、続いてトライした野崎は、9尺岩でバランスを崩し、そのままトライを進めたものの、残念な5点。こうなると、小川友幸と、あるいは黒山にもチャンスが出てくる。しかし黒山は出口まで登頂できずに5点。最後にトライした小川は、確実に3点でここを抜け出て、野崎との1点差を逆転。1点リードでSS第2に挑むことになった。
飛びついて登る入口の大岩、そして最後の直角の壁。ダイナミックでスリリング。野本佳章(ベータ)が最初にここを足をつかずに攻略。しかし野本はターンでテープを切っていた。5点。続く田中善弘(ベータ)は見事クリーン。以後、柴田、野崎とクリーンが続く。
1点差だから、小川友幸が2点以上つけば、野崎の再逆転となる(1点の場合は、クリーン数差で小川友幸が勝利する)。しかしそのアクロバチックな設定ながら、野崎は小川がまちがいなくここをクリーンするだろうことは読めていた。そしてそのとおり、小川は確実にここをクリーン。がっちり勝利をものにするとともに、今シーズン3勝目をあげ、さらに今回黒山が3位となったことで、ポイント差を8点に広げて終盤戦に突入することになった。
【小川友幸のコメント】
今日は、絶好調には遠い状態でした。取り返そうと思ってクリーンを狙って失敗したりと、よくないパターンに陥りかけていました。前回もそうでしたが、開幕2連勝したことで、みなさんに期待をかけられている上、自分でもプレッシャーをかけてしまっていた感じです。今日はライバルのミスで勝つことができました。マシンもからだの調子もいいので、メンタルの問題を解決して、次は気持ちよく勝ちたいです。
【野崎史高のコメント】
今日は勝てる戦いをしていただけに、ほんとうに、ほんとうにくやしいです。序盤は失敗もあり、5点の判定をいただき、からだも絶好調でなく、気分の晴れない戦いっぷりだったのですが、こんな中で優勝争いができたというのは収穫であり、それだけに勝てなかったのはくやしい結果となりました。
【黒山健一のコメント】
残念な結果でした。結果は残念でしたが、自分としてはやるべきことはやった、ベストは尽くしたという気持ちでいるので、満足はしています。そんな中で悔いがあるとすれば1ラップ目の第1セクションでの5点です。あれは完全に自分の失敗なので、あれはいただけなかったと思います。ランキング争いでは少し離れてしまいましたが、それはしかたがないです。
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ベテラン、小林直樹(TRS)が2連勝。中学生の大型新人、氏川政哉(ガスガス)はふたたび2位となった。
前回の勝利で小林はIAへの再昇格が決定ではと目されたが、規則により、小林のケースは再昇格の事例とならないことがわかった。小林は今後もIBクラスに参戦することになる。次に出られるのは、中部大会ということだ。
かつてのワークスライダーということで、勝って当然と思われるふしもある小林だが、試合に取り組む姿勢は真剣そのもの。ベテランのライディングはもちろんだが、若手ライダーが小林から学ぶところはまだまだ多々あるのではないか、というのが試合を見守った面々の共通する違憲だ。
しかしそれでも、氏川のライディングセンスの秀逸さは光る。若手が苦手とされる滑るコンディションで、小林との点差は9点、クリーン数はひとつ少ないというところまでがんばった。2ラップ目の9点は小林にもひけをとらないスコアだった。氏川も、小林と3度目の勝負ができるのを楽しみにしているようだ。次に小林が参戦するのは、第6戦の中部大会ということだ。
【小林直樹のコメント】
3ヶ所ほど、クリーンが出せなかったセクションがありましたが、クリーン数も一番多かったし、よい戦いができたと思います。今日は1ラップ目が1位、2ラップ目に3位、3ラップ目に1位で、トータルでは1位を守りきれたのですが、そういうことは競技中はまったく知らずに走りました。22年ぶりの全日本、50歳になっての挑戦は、やっぱりきついです。それでも、精いっぱいがんばります。
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今回も5名が参加。地形が厳しいので、レディースにはなかなか辛めの設定となっていた。
西村亜弥(ベータ)は開幕3連勝。今回も結果だけ見れば、ほぼあぶなげなく勝利を飾った。2ラップ目に5点ふたつで減点を増やしはしたが、勝利にはゆるぎがなかった。
2位争いは、序盤に好調だった小谷芙佐子(スコルパ)を小玉絵里加(ホンダ)が逆転してつかんでいる。
4位は、今シーズン始めて、寺田智恵子(シェルコ)が入った。
【西村亜弥のコメント】
4連勝になりましたが、今回は今シーズンで最も厳しい勝利でした。勝ちは勝ちですけど、内容的に納得がいかないので、もっと気持ちよく勝てるように、次はがんばりたいと思います。
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