全日本ロードレース選手権はシリーズ4戦目を迎えた。舞台となるのは宮城県・スポーツランドSUGO。ここ数年、8月末に行われてきたが、今年は6月末の開催となった。昨年、初めての試みで100マイルのセミ耐久で行われ、トップ3が最終ラップまで接戦を繰り広げ、これを中須賀克行が制したのは記憶に新しいだろう。今年は、120マイルとさらに距離が伸び、テクニカルなスポーツランドSUGOを52周という長丁場で争われる。今年もライダーは1名から2名を登録できるが、トップチームは、ほとんどがライダー1人で臨む予定をしている。 ドライコンディションとなった金曜日は、中須賀が1分27秒943でトップタイムを記録。これに暫定ランキングトップの高橋巧、渡辺一樹も僅差で続いていたが、土曜日の公式予選は一転しウエットコンディションとなった。今回は1時間の計時予選で争われたが、セッション終盤のタイムアタック合戦は、見応えのあるものだった。 セッション序盤から中須賀がリーダーボードのトップに立っていたが、終盤になると中須賀が引っ張っていた野左根航汰がトップに立つ。その後、柳川明がトップに立つが、プッシュした中須賀が再逆転し、ただ一人1分36秒台に突入する。その後、ヨシムラの津田拓也もセクター1で赤マークを点け、自己ベストを更新する走りを見せるが、最後のシケインで遅いマシンに引っかかってしまう。それでも4番手タイムとなっただけに、もし引っかかっていなかったらポールポジションタイムに肉薄していたはずだ。 「前に(遅いマシンが)見えていましたが、何とか引っかからないでいけるかと思ったのですが、急激に差が詰まってしまいシケインの中で引っかかってしましました。コンマ4秒ぐらいロスしているのでタラレバですが、ポールポジションを獲れたかもしれませんね。ル・マン式スタートなのでダメージは少ないですが悔しいですね」と津田。 ポールポジションは、開幕戦鈴鹿以来となる中須賀が獲得。柳川が2番手となり、3番手にセッション終盤にタイムを上げた高橋が食い込んだ。4番手に前述の通り津田がつけ、ウエットで積極的な走りを見せた野左根が5番手につけている。 2年前のSUGOラウンドで優勝を飾っている加賀山就臣は6番手タイムを記録。今シーズンは、新たなパッケージとなったが、ここまでの3戦は本来の走りができていない状況だ。今回はウエットコンディションとなったことで、トップとの差は縮まっているものの、優勝を狙うのは難しそうだ。それでもコンディション次第では、世界で活躍してきた実力を見せてくれるかもしれない。 また、一時は上位につけていた山口辰也は、セッション終盤にマイナートラブルが発生し、アタックできずに終わっている。インフィールドでは、抜群の速さを見せているだけにトップ争いに加わってきそうだ。 レース序盤は、誰がレースを引っ張って行くかが注目だろう。長丁場のレースだけにピットインする前は、ライバルの動向を見極めながらの駆け引きがあるはずだ。体力の温存のためペースを落とせば10台近いマシンがトップグループを形成することも考えられる。天気予報では、日曜日はウエットレースとなる可能性が高いだけに、体力的には、ドライよりは楽となるだろうが前車の巻き上げる水しぶきで視界を遮られることでドライ以上の集中力が必要となる場合もある。序盤から逃げるライダーが出てくれば、レース展開も荒れてくるはずだ。 しかし、いずれにせよピット作業後のポジションが重要であり、ピットワークも重要なファクターとなってくる。今年はエアツールの使用が解禁されただけに、各チームのピット作業にも注目したいところだ。 長く厳しい戦いが予想されるSUGOスーパーバイク120miles耐久レースのウイナーは!?